| バス さて、本題のバスですがここでは路線バスについて説明します。いわゆる観光バス(貸切バス)については今回は対象外としました。 街中を歩いていれば否が応でも、あのロンドンと同じ2階建てバスがさまざまな全面広告を身に纏って縦横に走りまわっているのに遭遇できます。これを見ていれば、バス好きでなくともわくわくするものです。実はSingaporeの路線バスは、私の独断からすれば、世界で最もIntegrateされた「バスシステム」であると思いました。「バスシステム」は私の造語で特に定義されたものではありません。ここでバスという「交通システム」の特徴を整理しておきたいと思います。 バスは鉄道のように線路がないため道路さえあれば極端な話どこでも路線をひくことができます。その意味でまず柔軟性のある交通手段だといえます。しかし、他の交通機関と道路を共有するため他の交通と影響を与え合うことになります。また鉄道の駅はバスではバス停に相当しますが、切符の販売機や改札がなく、駅員がいないので、バス自体が改札や駅の設備を持っています。そのバスが鉄道よりも細かく停車し乗客を その大きな特徴は、 �@ 縦横に巡らされた路線網、 �A 極めて高い運行頻度、 �B ストアードカードによる運賃制度、 �C ヨーロッパと同一レベルの最新車両、 �D 機能的な数多くのバスターミナル、 の5点にまとめられると思われます。以降、各点について私の感想と日本との比較を述べようと思います。 �@ 縦横に巡らされた路線網 シンガポールは淡路島程度の大きさであることは冒頭で書きましたが、そこに主に2社(SBS,TIBS)の計239系統が縦横に路線を巡らしています。その路線の多くはMRTの駅に隣接するバスターミナルまたはバスだけの独立したバスターミナルを起点・終点としています。シンガポールにはバス路線図は存在しないようでしたが、もしあったとすれば相当デフォルメしないと描ききれないと思います。驚くべきはどのバスターミナルでも島内あらゆる方向へ路線が延びていることで、City(中心部)からの放射線状の路線形態ではないことです。つまりMRTが背骨とすれば、バスは肋骨のようにMRTを補完し、かつMRTが通じていない地区について、MRTを代替しています。このように書くとMRTの各駅からの短区間の路線ばかりのようですが、実際はMRTに並行する長距離系統も多く存在します。これは私の想像ですが当地の気候を勘案すれば、少し歩いてまでもMRTの駅に行き上り下りしMRTに乗るよりも、MRTより時間がかかっても、目の前の道路を走っているバスに乗るIncentiveがあるのだと思います。 �A 極めて高い運行頻度 どの系統も10分以下の間隔で運行されています。始発はおおむね5時30分、終バスは23時30分頃で、早朝・深夜でも運行頻度がさほど変わらないところが、特徴的です。また、私がそれに遭遇しなかっただけかもしれませんが、ダンゴ運転が少なく、長く待たされたり、続けてやってきたりすることはありませんでした。これはバスロケ(Bus Location System:運行センターがバスの位置を管理し運行間隔を運転手に指示するシステム:東京都バス都01系統ほかで運用中)のお陰かと思いますが、きわめてシンプルなシステムのようでした。私の見た限りでは、運転席に運行間隔を指示する装置はなく、起点・終点のバスターミナルで、運転手がタイムカードを時計に差し込んでいるだけの様でした。これが磁気カードでセンターにつながているのかかもしれません。ひょっとすると、磁気は使われず単に時刻の印字だけで事後管理(ダイヤの見直し)、もしくは勤務管理に過ぎないのかもしれません。シンガポールは、そもそも道路網が整備されているため、一部の道路や夕刻時を除いて渋滞は少ないため運行に影響が出ることは少なく、起点・終点がバスターミナルのため、運行管理がしやすいことも考えられます。 正確な運行頻度・定時運行は、バスの生き残りのための重要なFactorです。シンガポールでは計画的な道路整備と、自家用車の所有制限と中心部乗入れ禁止のお陰で、定時運行が確保されています。この定時運行の確保により運行頻度が安定し公共交通機関の一部として、バスは有機的に機能しています。 日本の黒字バス路線は大都市郊外の駅と住宅街を結ぶ一部路線に限られており、その他は全部赤字といって過言ではありません。しかしながら自家用車・商用車の増加により、交通渋滞は年々激化するため、バスの平均速度が低下し、定時運行が難しくなり、加速度的に乗客のバス離れが進みつつあります。一方で、バスの再生を賭け、大都市中心部に約15年前から運輸省の補助を得て、が導入されています。これはシンガポールのバスのシステムに似たものシステムと同じもので、バスロケーションシステムを使った高密度かつ一定の運行間隔、路線を徹底したバス専用レーンにする点、空気バネを使用した高品質車両を目玉としたものです。さきに述べた東京都交通局の都01系統や、名古屋市交通局・名鉄の基幹バスなどがその先駆けで、一部では十分新しいバス交通の役割を果たしているものもありますが、地下鉄の新設とともにその機能を譲ったものや、バスレーンを設けても違法駐車によりレーンが確保できず、定時運行が難しくなり、高密度運転がダンゴ運転になり易いもの、乗客が予想よりも伸び悩んでいるものなどがあります。また今後の都市新バスシステムの新設についても都市新バスを設置する程の乗員密度ない路線はどのような対応可能か、など問題は山積しています。
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