市場の意味を考えてみたい
日本に市場があるのか
その一つの役割は、異なる商品同志を結び付けることである。
これは市場の成り立ちを考えれば、当然わかるとおり、物物交換によって、市場が始まり、逆にその交換と場所を制度化したものが、市場と呼ばれるようになり今日に至っている。
しかし、市場にはもう一つ重要な役割がある。それは競争をもたらすことだ。例えば蕎麦(そば)を考えてみる。いろいろな蕎麦があっても同じ値段ならおいしいものが売れる。しかし、まずければ売れない。市場のチャンスを自分のものにする為には、他人の目から見て魅力のある蕎麦を持ち込まねばならない。自分が饂飩が欲しいのなら、おいしい蕎麦を持参しなければならないのである。そのためには、蕎麦の実の選びかたやら、打ち方に至るまで気を抜かないでまじめに取り組まなければならない。そのように一生懸命努力した個人は、より多く売れるからようになるからより多く作り、より多く作るからより安く売ることができるようになり、やがてすべての競争相手を品質でも価格でも打ち負かして、市場における唯一の蕎麦提供者になる可能性がある。
しかしそうなると、競争相手がいなくなるから、多少味が落ちても蕎麦とはそういうものだとと押し通すことができようになるだろう。けれどそうやって押し通せる時期は長くは続かない。ほっておけばそこにチャンスを見た新しい作り手が必ず登場するからだ。だが、もし蕎麦の独占的な作り手が、何らかの権力を手に入れて、市場への新規参入者を妨げるような手を打っていれば、作り手としては堕落しても、商売としては成り立つ、というおかしな事態が発生する。そうなると市場は人間の生活を豊かにするものではなくなり、逆に生活の質を切り下げるものに変わってしまう。だからこそ市場には適切な競争メカニズムが働いていることが重要なのだ。しかし現実には市場における成功者はその成功のゆえに競争を排除する力を持ち、引き続き新規参入を拒むための努力を惜しまない。日本には本当の市場はないのではないか。
日本のGDPは本物か
私は今の日本経済こそバブルだと思う。日本の一人当たり国民総生産は世界第3位で、名目国内総生産は480兆円(95年)に達するが、それは生産物の付加価値によって生み出されているのではなく、高コスト構造による空回り経済からバブル的に積み上がっているものではないだろうか。
本当のバブルがはじけて既に5年以上が経過しているが、最近の株安、円安を見ても景気回復の兆しは見られない。なぜなら、今の日本経済は構造的に活性化することが困難であるからだと思う。一次・二次産業における「ものを作り出す産業」は国内から消滅しつつある一方で、就業者数が製造業を上回るサービス産業では、いわゆるホワイトカラーが、実体的に何も経済価値を増すことなく、利益だけは確保する形で日本の高コスト構造社会を加速させている。またそこには経済原理の働きにくい財政投融資に絡む部分が多い。
今、日本経済の回復に必要なのは、官公庁の徹底的な制度・組織見直しと企業のリストラである。誰がみても経済合理性のないものは改めるべきであるし、その判断基準は日本ではなく世界のものさしで行う必要がある。そうでなければ日本経済は砂上の楼閣と化してしまう。
|
戻る
|
|